夕暮れの街で、君と。

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 モノレールを降りて駅前の正面に延びた道をまっすぐ進んでください。坂道をのぼりきった所に正門がありますから。電話の主は確かにそういった。   …どこまでのぼればいいんだろう。  駅を出てからもうずいぶん時間が経っているはずなのに一向に目的地にたどり着く気配がない。行く先には相変わらずだらだらと坂道が続く。のぼるにつれて坂道はゆるくカーブし、先が見えない。  ふと、左のほうに視線が向く。公園らしき場所が目に入った。中には緑の芝と木陰にベンチ。入口付近には自販機もあった。あそこで少し休憩してもう一度電話をしてみよう。  何か飲み物を買おうと思い自販機の前に立つ。小銭を入れようとして驚いた…自販機の商品見本は全部、ウーロン茶だったのだ。こういう自販機もあるのかと思いつつ、適当にボタンを押す。ガタン、と音を立てて冷たいペットボトルが出てきた。それを手に取り公園の中へ。
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