夕暮れの街で、君と。

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「え?そんな、いいですよ。君が食べて下さい」 「いいよ、3つあるから。それにおじさんお腹減ってるみたいだし…」  別にお腹が減っているワケでは…と言おうとして、自分がひどく空腹である事に気が付き、無性に男の子のおにぎりが食べたくなる。 「じ、じゃあ遠慮なくいただきます」  しかし子供からもらいっぱなしというのも、大人としてどうかと思うので、持っていたウーロン茶のペットボトルを男の子に渡す。男の子は、え?いいの?といいながら受け取り早速フタを開け口をつけた。それから、冷たくて美味しいね、と、うれしそうに言った。  私達は並んでおにぎりを食べた。おにぎりの中味は梅干し、種がとってあるのは母親の気づかいだろうか。ふと、男の子の食べているおにぎりに目をやる。  …何の具も入っていない。 「…君の、具が入ってませんね。お母さん、入れ忘れちゃったのかな?」  男の子は私の言葉におにぎりを見つめ、それから私を見た。 「それ、ぼくが握ったの。梅干しなくなっちゃって、おじさんのが最後の一個」
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