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ちょっと切なくて不思議な夢だった。子供の和樹が現れるなんて。しかし夢の中でも、たとえ子供の姿でも私にすこしでも美味しいものを食べさせようとするのはいかにも和樹らしい。
時計を見ると午前6時。隣には枕を抱え込んで穏やかな表情で眠る和樹、夢の中に出てきたあの子と面差しが重なる。
手を伸ばし和樹の頬に触れる。熟睡しているかと思ったが、彼がゆっくり目を開け私をじっと見た。
「…スミマセン、起こしてしまいましたね」
ナニ?どうしたの?と和樹が聞いた。
「なんでもないです、いいからまだ寝ててください」
和樹はうなずき、目を閉じた。
すっかり目が覚めてしまった私は、シャワーを浴びるため体をおこし、ベッドから出よう…とした途端に手首を掴まれ和樹にベッドの中に引き戻される。
「行っちゃダメ」
私の背中にピッタリくっついた和樹が耳元でささやいた。私が黙っていると、逃がさない、とばかりに私の体に手を回してきた。私は和樹の腕に手を重ねる。
「俺、今、スゲー幸せ。真那とこうして一緒にいられるから…」
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