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それは健二の友達がなかなか帰らないのである。遊びに来てくれるのは悪くはない、しげみは子供の頃引っ込み思案で友達がいなかった。
せめて子供には少なくてもいいから友達はいて欲しかった。
隆一がなかなか友達ができず、やはり自分の子だわとがっかりしていただけあって健一が連れてきてくれたのにはほっとしたし、学年は違えど隆一も加わって仲良く遊んでいる。
しかし遊びに来る竹原と皆川は最初はおとなしさはあったものの日を重ねるにつれてずうずうしくなり、お菓子はこぼすわ、テレビの設定をいじるわ、喧嘩は派手だわ、言葉が汚いだわ……しげみにとっては悩みの種だった。
1番の問題は夕方六時すぎまで家にいて遊んでいるのだ。
そしてようやく帰ると言い出した7時頃に
「おばさん、お腹空いた」
というものだからお菓子はあげているが流石に夜ご飯の時間、4人家族の晩ごはんから少しよそって食べさせて七時半頃に
「こっから遠いし暗いから送ってください」
と今度はしおらしくしてきたのだ。
しげみは相変わらずの引っ込み思案で彼らの親とは連絡先どころか話したこともない。
でもこんな暗い中まだ距離がある場所まで帰らせるのも可哀想と思ったしげみは車で送っていくしかないのだ。
送っていくとまだそれぞれの家は電気がついてない。
帰りの車の中でしげみは健一から
「あの2人の親はパパもママも忙しくて8時まで帰って来ないんだって」
と聞いた。
「他の家族は?」
「おらんらしいよ」
でも思えば専業主婦である人は下に幼稚園児や赤ん坊がいるところを除けばほぼ働いているらしく、子供たちは学童に預けられているらしい。
しげみはうらやましかった。
結婚するまでは働いていたのだが婚約した後に優男から堅物なモラハラ男に転じた玲太たちから
「お前は嫁になったんだから夫をサポートするために仕事を辞めろ」
と言われ、ようやく30手前にして初めて男の人と付き合い結婚まで至った男性だったためしげみは鵜呑みにして仕事を辞めて専業主婦になったが、結婚後に周りから
「子供もいないのに専業主婦なんて」
「専業主婦なんて世の中のお荷物」
と罵られ、そのことを玲太や義父母に伝え自分もまだ子供はできないし少しでも働きたいと伝えると
「何を言う! それにお前は社会に貢献できないだろ。前の仕事も客にヘラヘラ笑ってお金を剥ぎ取る悪徳サロンにいただろ。そういう悪い仕事しかできない頭の悪いやつが働く? 夫の給料が低いと言ってるのか? それに不妊体質は我が家系にはいないんだよ! お前の家系の血が悪い!」
と何時間も説教させられその後、流産を乗り越えてから子供2人を産み専業主婦でいることになる。
離婚も考えたが子供ができてしまい専業主婦でお金も無い、子供のためにもと離婚はできなかった。
色々踏みとどまれると思ったしげみだが玲太は仕事で疲れている、自分の代わりに働いてくれているのよ、そう言い聞かせるしげみだった。
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