忘れられない想い出

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忘れられない想い出

『サンタクロースっていると思う?』  十二月二十五日。その日、世界は煌めきと幸せで彩られる。至る所で色とりどりの光が灯り、人々の表情もより一層煌々とし眩さが増す。誰かが誰かを想い、誰かが誰かに想われ、世界が愛に満たされる。時に空からは天使の羽が舞い落ち、恋人達の背中をそっと押してくれたりも。  十二月二十五日クリスマス――それは私の一番好きな日。と同時に色濃く記憶に残る日でもある。  あれは十歳も満たない程に幼い頃。私は毎年その日が来るのを心待ちにしていた。その日が来る一週間前から遠足なんか比にならないくらい楽しみで楽しみで仕方なかった。特に二十四日の夜は興奮で眠れない。もうこのまま朝までずっと起きてるんじゃないかってぐらいに。  でも何故か毎年、気が付けば眠りに落ちている。我に返った時には朝が来てて、枕元には舞踏会にでも行くみたいに着飾ったプレゼントが私を迎えてくれていた。その瞬間の興奮は今でも覚えている。  だけど、その日は違っていた。毎年の恒例と化しいつの間にか眠りに落ちていたはずなのに――私は目覚めた。まだ外も真っ暗で枕元のプレゼントもない。寝惚け眼を擦る私は、夜中に起きてしまったんだと理解するのと同時に眠気が体中に巻き付くのを感じた。疲れて酷く眠い、鉛のように体が重いあの感覚。両瞼は導かれるようにそっと閉じていく。
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