クリスマスの秘密11

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クリスマスの秘密11

 サンタさんと雪舟を挟んだ向こう側には得体の知れない――そう、化物と呼ぶに相応しい容貌の何かがいた。嘴のように先へ僅かに伸びた口と頭には山羊角。人型ではあったが両手は位置がズレ、背中からは尖鋭なの触手が数本生えている。全体的に不気味な外見だ。  しかもそれは一体だけではなく囲うようにいた。 「なにあれ……」 「あれはランプスじゃ。一言で説明するなら化物が分かり易いかもしれないな」  ランプス、聞いた事もない名称はもはや理解の手助けにすらならない。  一方であの時のサンタさんは片足を踏み出しそのまま雪舟を跳び越えた。でも着地したサンタさんはランプスに囲まれ、側から見れば絶体絶命。 『儂が良いと言うまで開けちゃ駄目じゃよ』  すると聞き覚えのある言葉が聞こえそれに対し幼い私が答えると、正面の一体が口火を切りサンタさんへ向け四つん這いで駆け出した。瞬く間に接近すると最後は跳躍し、花咲くように開いた口。無数の小さな牙の羅列を剥き出しにランプスはサンタさんへと襲い掛かった。  だがその口がサンタさんの顔を喰らうより先に、手袋越しの左手がランプスの喉元を掴んだ。そしてそのまま横の方へ引っ張っては死角を突いて飛び掛かってきていたもう一体の盾にし、開いた口へ捩じ込むように体をぶつける。
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