クリスマスの秘密12

1/1
前へ
/36ページ
次へ

クリスマスの秘密12

 一方その時には反対側からも別のランプスが二体、地を蹴り襲い掛かって来ていた。それを横目で確認したサンタさんは右足を踵は着けたまま上げ、地面へ叩くように振り下ろした。足音に呼ばれサンタさんとランプスの間へ一瞬にして現れたのは、煌びやかなクリスマスツリー。ベストタイミングで出現したツリーは飾り付けと枝や葉を揺らしながら盾となりランプスを防いだ。  とは言え一息つく暇も無く、更に正面から五体のランプスが。だがサンタさんは動じる事なく両方の手銃を二丁拳銃のように構えた。それに合わせ周りには幾つもの雪玉が現れている。ふわり浮かんだ雪玉はサンタさんの撃つ動作を合図に弾丸の如く発射されていった。それがランプスに触れると雪玉が砕け散るように小さな爆発が咲き、奇怪な体は辺りへ黯い鮮血を飛び散らせながら雪のクッションへと落ちていった。  すると今度は何やら隣のクリスマスツリーから雪結晶の飾り付けを手に取り始めるサンタさん。どうするのかと思えば、それをツリー目掛け投げ飛ばした。その寸前、手元で三枚へと増えていた雪結晶は手裏剣のように回転しながらツリーを切り裂き、更にそのままツリーの背後から接近しようとしていたランプスまでも切り刻んだ。  しかしそんなサンタさん上空には既に他のランプスの触手が伸び包囲網を生み出していた。先端はサンタさんを睨み付けており――そして無数の触手が雨の如く一斉に降り注ぐ。瞬く間にサンタさんは雪煙に呑まれてしまった。 「サンタさん!」  私は思わず叫んでいた。そんな私を隣で今のサンタさんがどう見てたのかは分からない。だけど少なくとも視線先のサンタさんにはこの想いが届いたのかも。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加