クリスマスの秘密13

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クリスマスの秘密13

 風に流され段々と雪煙が晴れていくと――そこには身を寄せ合い地面に突き刺さる触手の群れがあるだけで、サンタさんの姿はどこにも無かった。一瞬、不覚にもランプスと私の思考は全く同じ道を辿ったと思う。サンタさんが消えた事に対しての吃驚とどこへ消えたかの疑問に辺りを見回した。  そんな中、サンタさんの姿はランプスを見下ろす屋根の上に。私より僅かに遅れ、雪を踏み締める音にランプスは一斉に屋根を見上げた。それを見下ろしながらサンタさんは掌を空へ向けた右手を下から何を持ち上げるように上へ。  すると、それぞれのランプスの足元からプレゼント匣が現れた。かと思うと弾指の間にその奇怪な姿を呑み込んでしまった。丁寧に上から蓋とリボンまでされて。  そして眼下のランプスがプレゼント匣へと変わると――サンタさんはその片手を絞る様に閉じた。それに合わせプレゼント匣は一斉に時空へ吸い込まれるように跡形も無く消えてしまった。  サンタさんはそれを確認すると屋根から下り雪舟へと近づいてゆく。  その時、ふと立ち止まったサンタさんは視線を右手の方へ向けた。私も釣られ同じ方へ視線をやってみると、そこに広がっていた光景に思わず声を漏らしてしまった。 「嘘……」  そこには先程とは比べ物にならない数のランプスが道と屋根を埋め尽くしていたのだ。触手を畝らせるランプス。口を大きく開き唾を飛ばすランプス。それは今にも襲い掛かってきそうだった。
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