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クリスマスの秘密16
「そして儂らには君の力も必要じゃ」
駆け抜けていく星空の景色を眺めていたからか、私はちゃんと聞き取れていなかったらしい。
「何ですか?」
「君は卒業したらどうするかは決めておるのか?」
「いやぁ……何となくの候補はあるんですけどまだちょっとって感じですかね。多分、大学に行くと思いますけど」
進路や将来、今の私も含めそれ関係の質問にはついつい苦い顔をしてしまう人は少なくないはず。
「それなら……どうじゃ?」
そう言ってサンタさんは一枚の封筒を私へと差し出した。それは赤色に雪の降る可愛らしい封筒。何の事か分からなかったが、取り敢えず封筒を受け取る。
「儂という存在を信じ続ける君のような人間は稀じゃ。そしてそんな人間を儂らは必要としてる。もし君が望むのなら、儂が招待しよう」
「えーっと……」
突然の事に私はまず理解すら追い付ていなかった。
「つまり……私もサンタファミリーに?」
ふとそんな結論を思い付くと何だか幸せな気持ちが溢れ出してきた。
「詳しくはそれが教えてくれる。クリスマスを受け取る側から今度は届ける側に、という事じゃな」
「届ける側……」
多分そう言う事ではないだろうが、脳裏では自分がサンタとなって世界中にプレゼントを届ける絵が浮かんでいた。思わずニヤケてしまう。
「考えてみてくれ」
するといつの間に着いたのか、雪舟は私の家の前に止まっていた。
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