クリスマスの秘密20

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クリスマスの秘密20

 その夜。寝る準備を済ませた私はベッドを背凭れ替わりにテーブルであの封筒を開けていた。中から出てきたのは一枚のクリスマスカード。それは普通にクリスマスで貰っても嬉しい程に可愛らしい。  そして思わず笑みを浮かべてしまうそのカードを早速、開いてみる。中は飛び出す仕組みで、出てきたのは一つの建物とその周りに生えた木々。それに手前には可愛らしい妖精が私を見上げるようにいた。しかもその隣にはボタンと「ここを押して」というメッセージが書かれている。 「へぇー凄いなぁ」  私はまずカードを手に取って色々と見てみた。思った以上に細かいし、見てて面白い。  それから取り敢えず言われた通りにボタンを押してみる。当たり前と言うべきか、本当にボタンがある訳じゃなくて立体的な紙を押す柔らかい感触。それに押したからといって何か更なる仕組みがあるって訳でも無い。 「ん? これだけ?」  詳しい事はここにあるって言ってたはずだけど、今のとこ立体的なカードなだけで何もない。  すると私が首を傾げじぃっとカードを見つめていたその時――突然、煌めきを振りまきながら妖精が一回転し始めた。そして独りでに動き出し私を見上げると丁寧にお辞儀をひとつ。 「これは北海道のとある場所にあるクリスマス防衛機関の日本支部です」  妖精は私の理解が追い付くより先にそのまま背後にある建物の説明を始めた。 「えっ? ちょっと待って」 「はい」  慌ててそう言うと意外にも妖精はピタリと説明を止めた。
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