クリスマスの秘密22

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クリスマスの秘密22

「夜星大学の詳細は資料により確認下さい。クリスマス防衛機関に関しては所属する際にその詳細が改めて説明されます。他に何か質問はありますか?」 「いや……今のところは」 「それでは質問があればまたいつでもどうぞ」  そう言って妖精は頭を下げた。 「最後に我らがサンタクロースの言葉をどうぞ」  すると妖精の頭上へホログラフのようにサンタさんが現れた。三角帽を被りトレードマーク的な格好をしてる。 「諸君、思い出してみて欲しい。子どもの頃に過ごしたクリスマスを。あの賑わいを、あの煌めきを、あの興奮を。たった一つのプレゼントを選ぶ悩ましくも至福の時間。そして前日から心は躍り続け、朝起きた時にプレゼントを見つけたあの瞬間」  目を瞑り笑みを浮かべたその表情は何が言いたいのかを十分に代弁していた。 「そして今年もまた。来年も。そのまた次の年も。これからもずっとそれを世界の子ども達が体験する事になる。子ども達の子ども達が。これから先もずっと続いていく。君のその掛け替えのない体験を、今年もまた子ども達が味わえるよう――」  言葉が途切れ、サンタさんの双眸が緩慢と開く。 「――君の力が必要じゃ。十二分に満喫したクリスマスを、儂と共に守っていこう」  それは決意と希望に染まった純粋で真っすぐな眼差しだった。まるですぐ目の前にいて直接私に語り掛けているように。 「以上はサンタクロースがクリスマス防衛機関日本支部へ送った言葉です」  妖精はそう言うとふわり舞って元の位置へ戻ると最初のようにただの飛び出す絵の一部となった。私はカードを手に取り色んな方向から見回してみるが、最初同様にそれは何の変哲もないただのクリスマスカード。
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