エクスレイ日本支部5

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エクスレイ日本支部5

 でも安居院さんが手を触れると自動ドアのように壁は開いた。その向こうで私達を出迎えたのは少し広めの空間。ここまでとも違ってソファとか自販機とかがあってロビーみたいだ。  そして何より一番違うのは、人が居る。それはタブレットを大事そうに抱きかかえた子ども。赤ん坊のようにモチモチとした頬と前髪を挟み垂れた三つ編み、後ろではまとめられたブロンドヘアが可愛らしく団子になっている。 「安居院さん、ご苦労様です」  少女は見た目に反した丁寧な言葉遣いの後、これまた礼儀正しく頭を下げた。 「いえいえ、これぐらい大丈夫ですよ」  まるで姪っ子に合わせる叔父のような安居院さんはそう返事をすると私の方を半身で振り返った。 「ここからはこちらのナナさんが案内してくれます」  安居院さんはそう言って確かにその少女を手で指していた。私は少女の目の前まで足を進めるとしゃがみ込んで視線を合わせた。 「お嬢ちゃんが案内してくれるの? ありがとね」  見ているだけで和んでしまう少女へ気が付けば手が伸びていて、欲求に逆らえず私は頭を撫でた。 「はい。私、日本クリスマス防衛機関生活部のナナ・ユウェルンと申します。ミノル族と言って、皆さんに分かり易く説明するなら小人ですね。なのでこう見えてもちゃーんと成人してますよ」 「そうミルノ族って言うんだ。可愛いねぇ。もう大人だねぇ」  私はそういうごっこ遊びをしているだと、どこか懐かしさを感じながらナナちゃんの頭を撫でた。 「いや、あの……」 「太交さん。そちらのナナさんは本当にミノル族という大きな括りは人間ですが、いわゆる小人の種族ですよ。サンタさんが存在したようにミルノ族という種族も確かに存在しています」  顔を振り向かせ安居院さんを見てみると、その表情はとても冗談を言っているようには見えなかった。 「えっ……」  手はそのままゆっくりと顔を正面へと戻していく。
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