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エクスレイ日本支部10
「あのナナさん」
「なんですか?」
「新人と先輩が同室になるのって――」
「特殊戦闘部だけですよ」
「って言う事は私って……」
「はい。特殊戦闘部への配属ですよ」
人は心の底から信じられない言葉を聞いた時、思考がフリーズしてしまうらしい。まるで難解な専門用語を並べられたかのようにその言葉を理解するのに少なくとも数十秒は掛かった。
「えええぇぇぇー!」
そして沈黙を突き破り叫声を上げた私は襲い掛かる様にナナさんへと近づき両肩に手を伸ばした。少し怯えたように苦笑いを浮かべるナナさんすら気にならない程に頭は埋め尽くされている。
「い、いや。でも私戦うなんて……私。無理ですよ! 無理ムリ絶対に無理です!」
「そう言われても……。そう聞いてるんで」
「誰が決めたんですか!? 誰がそんな無慈悲な事を!」
「基本的にスカウトされる方は殆どが特殊戦闘部ですので。あとは外交部ですかね。その他は昔からミノル族とティクシ族が担ってるので」
「じゃあ私を外交部に!」
「いやぁ私に言われても……。それに美沙さんはサンタさんの推薦なので部署もサンタさんによる決定だと思いますよ。そうだったら異議を申し立てるのは支部長ぐらいしか……。でも流石に承認してる時点で特別な理由がない限りは無理かと」
「そんな……」
絶望に打ちひしがれた私はとうとう崩れ落ちてしまった。へたれ込み最早ただただ床を見つめる事しか出来ないこんな私に一体何が出来るというんだろうか。
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