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瑠衣は秋帆のアドバイスにより、まずは目のアイプチから始めた。瞼が重たいためにただのアイプチでは二重にはならない。アイテープと併用で無理矢理皮膚をくっつけた。
今までも試してはみたが、上手くいったためしはなく自分にはそれさえ無理だと感じていた。けれど秋帆に言われた通りの手順を踏んだら、綺麗な二重ができるようになったのだ。
クラスメイト達は驚いていたが、中学や高校生の頃のように「ブスが色気づいてる」などと揶揄されることはなかった。眉も整え目元が綺麗になると季節も感染症も関係なくマスクをして過ごした。実習先はマスクが必須だし、看護学校だから指摘されることもない。
何か言われても「花粉症なんです」で大体済んでしまう。
そうして1年生の夏休みに突入すると、二重埋没法で重たい瞼を二重にした。瑠衣の両親は最初こそ反対をした。
整形なんてする必要はないと言ったが、散々不細工だと言ったのは自分たちだ。このままでは私は幸せになれないと何とか説得して手術を受けた。
瞼の裏側に麻酔の針を打つのがとにかく痛かった。
「目を瞑らないで!」と医師に怒られながら必死に耐えた。麻酔が切れれば違和感と痛みがいつまでも続き、その苦痛にも耐えた。
「ダウンタイムは長くて2週間程度ですかね。大体の方が1週間くらいでわからなくなりますよ」
なんてカウンセリングの女性は言ったが、毎日不安で鏡が手放せなくなるほど腫れ上がり、ダウンタイムは1ヶ月近くかかった。
腫れが引かないうちは、このまま学校に行けないんじゃないか。整形したことがバレるんじゃないかと怖くて仕方がなかった。
しかし、見ず知らずの人間に二度見され、ブスだと笑われるよりかはマシだと思った。不安と恐怖に耐え、3ヶ月が経つ頃にはわりと馴染んで自分でも少し可愛くなったように思えた。
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