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何度も言われてきた心ない言葉は、雨のように無数に降ってきた。防ぎようのないほど、同時に多くの言葉を浴びせられたのだ。
当然、瑠衣をバカにしてきたのも、見下してきたのも成美ほど容姿の整っている人ばかりじゃない。
「……違いました。誰でもかれでも私に酷いことを言った」
瑠衣はまたぶわっと目にいっぱいの涙を溜めた。バタバタと勢いよくそれがこぼれて、テーブルの上を濡らした。瑠衣はそれを見て慌ててティッシュペーパーでテーブルを拭いた。
その姿を見た成美は、自分で言っておきながら少し心が痛んだ。正論を言ったつもりだったが、瑠衣の心は成美が思っている以上に傷ついている。
今の瑠衣の容姿を悪く言う者などそうはいないだろう。だから、昔よりも今の方がまだ気持ちは楽なはず。そんなふうにどこかで思っていたような気がした。一度割れてしまった皿がピッタリとはくっつかないように、一度壊れた心は元には戻らない。
成美は確かにこれほどの苦しみを知らないと思った。
けれど、瑠衣に幸せになってほしい気持ちはあるのだ。苦手意識だけで人を避けていたら、きっと今回と同じことを繰り返す気がした。他人の見方が変われば、感じ方も変わる。それを瑠衣にも知ってほしいと思ったのだった。
「キツイことを言ったわね。ごめんなさい」
「いえ……。成美さんはいつだって正しい」
それでも成美を責めない瑠衣に、成美も鼻の奥がツンと痛くなった。
「瑠衣ちゃんが感じてるように、容姿の良し悪しに関係なく、他人を傷つける人は傷つけるし、そうでない人はそんなこと言わないのよ」
「……」
「特に思春期の頃は、孤立するのが怖いから強い人の真似をしようとする。何となく皆がそうしてるから。そんな理由で陰口やいじめが広がる。でもそれは、弱い人間のすることで容姿は関係ないの」
「……そうでしょうか」
「そうよ。中には自分よりも劣っていると勝手に安心したい人がいるの。それは、容姿だけじゃなくて収入や仕事もそう。あの人よりは稼いでる、あんな仕事は恥ずかしくてできない。そんなふうに他人を見下している人は一定数いるのよ」
成美の言葉に瑠衣はようやくたしかに……と思い当たる場面を想像した。
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