2人が本棚に入れています
本棚に追加
「ノロノロと走ってたら日が暮れるわーな。そりゃちと飛ばすわな」
馭者は手網をぶんぶんと振って馬足を早めた。平地ではあるもののたまに荷台が飛び跳ねそうになったりする。
「こりゃな昼頃には着くんわー」
マグナは俯きながら馬車に揺られて何度も姿勢を崩した。
「…」
「マグナどうしたのかな?」
「本当にいつもらしくないわね」
アーシャは分かっていた。喧嘩よりももっと何か重大なことを隠していたり嘘をつく時、考えて考え抜いて結局根性論になるとことか。
「マグナ、本当はあなたも王都見学の方が良かったのよね!ガルドさんと言い合いになったの?大丈夫。今度はみんなでガルドさんに提案してみよ。ね?だから元気だせ」
「…ちげーって」
(え、今笑った?)アーシャはマグナが少しだけ笑ったように見えた。
「あーもー、バカバカしくなってきた!なぁダーリュ、アーシャ。お前らの夢必ず叶えろよ。負けてもいい、でも絶対諦めるな。前を向け。何度だって立ち上がって。根性みせればいつだって絶好の好機が来る。だから…」
「それガルドさんの教えでしょ?って、ちょっと!」
「マグナ!?」
出発して間もなくの事だ。マグナは突然立ち上がり荷馬車から飛び降りた。
「じゃあまたな!俺も夢叶えに行ってくるわ」
そして手を大きく突き上げ、来た道を引き返す。途中最後尾の荷馬車に目をやった。
(姉さん、いってらっしゃい。俺は最後まで戦うよ。なんたって俺は戦士の子だからな。それに俺の夢は…)
最初のコメントを投稿しよう!