Episode1-1:平和なクトゥ村

4/8
前へ
/8ページ
次へ
「ノロノロと走ってたら日が暮れるわーな。そりゃちと飛ばすわな」 馭者は手網をぶんぶんと振って馬足を早めた。平地ではあるもののたまに荷台が飛び跳ねそうになったりする。 「こりゃな昼頃には着くんわー」 マグナは俯きながら馬車に揺られて何度も姿勢を崩した。 「…」 「マグナどうしたのかな?」 「本当にいつもらしくないわね」 アーシャは分かっていた。喧嘩よりももっと何か重大なことを隠していたり嘘をつく時、考えて考え抜いて結局根性論になるとことか。 「マグナ、本当はあなたも王都見学の方が良かったのよね!ガルドさんと言い合いになったの?大丈夫。今度はみんなでガルドさんに提案してみよ。ね?だから元気だせ」 「…ちげーって」 (え、今笑った?)アーシャはマグナが少しだけ笑ったように見えた。 「あーもー、バカバカしくなってきた!なぁダーリュ、アーシャ。お前らの夢必ず叶えろよ。負けてもいい、でも絶対諦めるな。前を向け。何度だって立ち上がって。根性みせればいつだって絶好の好機が来る。だから…」 「それガルドさんの教えでしょ?って、ちょっと!」 「マグナ!?」 出発して間もなくの事だ。マグナは突然立ち上がり荷馬車から飛び降りた。 「じゃあまたな!俺も夢叶えに行ってくるわ」 そして手を大きく突き上げ、来た道を引き返す。途中最後尾の荷馬車に目をやった。 (姉さん、いってらっしゃい。俺は最後まで戦うよ。なんたって俺は戦士の子だからな。それに俺の夢は…)
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加