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急がないと。
クトゥ村の近い村と言えば魔人境界のすぐ目と鼻の先にあるレベッカ村だ。
あそこは王国兵団も立ち寄る少し栄えている村で供給地点として成り立っている。
そんな村が壊滅したとなると半日もあればクトゥ村のすぐ近くまで来てしまう。
少しでも父さんの力になって村を守らないと。
俺は稽古をして強くなったんだ。
あの場所だけは守ってみせる。
走れ、走れ、走れ。
「きみぃー、ダメだよこんな所にいちゃー。死んじゃうよ?」
頭上から女の声が聞こえたと思ったら突然身体が地面に突っ伏す。
「あ
れ?」
倒されたのか。どうやって?
何が起きたのか分からないまま天を仰いでいた。
「もしもーし?生きてるぅー?あれ、反応無いやぁ」
視界に入ったのはまだ俺と年が変わらないくらいの背格好の少女。
「副団長。なんスかね。このガキ」
傍らにはあと二人。スキンヘッドの男と困った様子の若い男がいた。
スキンヘッドの男は王国の紋章旗を持っている事に気づく。
「王国軍!?良かった。これでクトゥ村は助かるんだ」
クトゥ村に救援がきたんだ。と安堵する。
「んん?救援?それって」
「…副団長。こいつ」
若い男は急に険しい顔をして槍をマグナの顔目掛けて構える。
少女は若い男に槍を下げさせた。
「なぁんだー!今向かってるところだったんだけどね。道に迷っちゃって。案内してくれるかな?」
「は、はい!こっちです、急ぎましょう!」
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