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「勇一だけなら兎も角、先生まで……」
隼人は呆れたように溜息を吐いた。
「面白半分でやったことではないよ」
「それはそうでしょうけれど……」
お茶を淹れながら、相楽の声はいつになく小さかった。
「先生は先生なりに、圭ちゃんの心配してくれてたんだから、あんま怒るなよ」
「それはそうだろうが、お前は面白半分だろうが」
「半分は面白半分だが、半分は本気だ」
等と勇一郎は、意味不明の弁解をしている。
圭ひとりで研究所を訪れるよう計らってくれと頼まれて、お使いを頼んだその夜、相楽から電話があった。
圭には内緒で。ということだったので、何事が起きたのかと不安に思いつつ、翌日訪れたら、とんでもないことを知らされたのだ。
「催眠術だなんて、一体彼の何を……」
大学では法律を教えながら、医学博士として、犯罪者の心理を研究する相良は、最近、催眠術なるものに興味を示し、学んでいたらしい。
そうして、その催眠術を掛ける対象として、圭を選んだのだとか。
「先生が催眠術で探ったのは、圭ちゃんの貴婦人像だよ」
「貴婦人像?」
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