鎮守の森

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 以前、(はなぶさ)という美しい名字を見て、品の良い御婦人だろうと考えていたら、肥え太った中年男性が現れて、一瞬だけ、この方は誰だろう? と、考えたことがあった。  サメちゃんとエビちゃんが乙女なのだと理解すると、風呂敷越しとはいえ、男の自分が抱き抱えているのは失礼ではなかろうかと、恥ずかしさと戸惑いが生じた。  だからといって、風呂敷の結び目を持って、ぶら下げて歩くわけにもいくまい。  このまま抱えていてもいいですか? と質問しようなら、意識させてしまうかもしれないと考え、敢えて、気づかぬフリをすることにした。 「あら? 圭ちゃんどうしたの? ドキドキって音がさっきよりも大きく聞こえますよ」  緊張を知られて、更に心音が大きくなった。 「いえ、その‥‥、学者に見つからないかと心配になりまして‥‥」  下手な言い訳をしてみる。 「変なことに巻き込んで御免なさい‥‥」 「いいえ。そんなことは考えていませんよ。  御三方に出会えたのは、私にとって嬉しいことです。  大丈夫ですよ、家はすぐ近くですから」

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