突然のお見合いに詰み

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「でも離婚歴10回って気になるよなぁ。せっかく桜小路グループと繋がったのに、離婚されたら元も子もないぞ」 「大丈夫じゃない?離婚届不受理申出出しておけば。そんな男なら勝手に出す可能性も有りそうだから花ちゃんが出しておけばとりあえず回避じゃない?」 「ゴミがその男の下僕になればいいのよ。何でもハイハイ言っておけば離婚されないじゃん。てか50歳とかアハハ!笑える!」 「チーズタルトもうないの!?」  私の目の前で好き勝手に話す家族達。次女に関しては私よりもチーズタルトの関心の方が強い。次女は見た目も中身もかなりの肥満で、流石にお見合い相手に差し出す選択肢には入れられなかったようだ。 「パパ~そのお見合い相手の写真とかないの?」 「それが全く。この情報だって桜小路グループの下請けの下請けの下請けくらいからようやく聞けたくらいだからな。言われたのはお見合いの日程だけ」 「よっぽど容姿が醜いんでしょ。良かった~長女ちゃんがそんな男に嫁がなくて」 「チーズタルトぉ!!」 お土産のチーズタルトを一口も口に出来ず、この空間内にいることが苦痛というか居心地が悪いというか、何かどうでもいいやという気持ちで自室に戻ろうと立ち上がる。 「おい、花。お見合いは来週の土曜日だからな。仕方ねーから良い着物買っていいぞ。あと少しでも顔綺麗にしとけよ」  パパがワイングラスをクルクル回して氏家家に乾杯!と上機嫌の声を背中で聞いて、廊下に出る。と、後ろから傷だらけの背中にまた衝撃が走る。痛みで悶絶してしまい、廊下の真ん中で膝をついていたら「ゴミ」と、顔を見なくても長女が後ろにいるのがわかった。 「良かったわね、嫁ぎ先が見つかって。でも訳有りのおじさんに捨てられないようにするって笑える。せいぜい身体でも何でも使ってご奉仕してね。ゴミ」  どうやらさっきは背中を叩かれたらしく、痛くて動けなくなって丸まっている私の背中に足を乗せてグリグリする。  出産もしたことないのに痛みを逃す為にヒッヒッフーーー!と自然と呼吸をしてしまう。それでお産の痛みなんて取れませんよって高橋さんが言ってたけど、本当だ。全然痛いわ!ヒッヒッフーーーってしても痛いわぁ。フェルナン.ラマーズさんが提唱したらしいからラマーズ法だよって日本に浸透してるけど、ラマーズさん!全然取れないわぁ!痛みぃ!  でもこの傷がこれ以上増えないなら、もう痛みと戦わなくていいなら、そのお見合い相手のおじさんと一緒に添い遂げる事は全然構わない。  ただなぁ離婚歴がなぁ……。バッテン(✕10)だしなぁ。戸籍謄本の中身、ぐっちゃぐちゃですよねって話題にしたら笑ってくれるかなって高橋さんに言ったら、一発で退場だよって今度は継母のブランドの靴を袋に入れて抱えながら言ってた。  高橋さんの行為もけっこう退場レベルだからね!!  そのブランドの靴の行き先はメルカリでしょ!!
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