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 一般図書の扉を開ける。  受付カウンターには、いつも通り渚さんの姿があった。 「おはようございます、渚さん」 「おっはよー」  にこっと笑みをつくり、手を振る渚さん。相変わらず、妙に距離が近い。   「今日はめっちゃ早いじゃん。どうしたの? 学校サボったのかな」 「いえ。今日から夏休みなので、じっくり本探しに一日費やそうと思って来ました」 「ありゃそうなんだ。夏休みぐらい友達と外で遊べばいいのに」 「まぁそういう根暗なところが、君らしくはあるね」と、さり気なく失礼なことを言う。  今更、僕としても気にしないが。そろそろ察して欲しいものではある。  こんなに一人で――しかも毎日のように――図書館に通い詰めているのだから、友達がいないことぐらい気付いてもよさそうなのに。  それか敢えて、気付かない振りでもしてくれているのか。  だとしたら、妙に距離が近いことにもそれなりに説明がつく。  要するに、悲しきぼっち君の友達になってあげようとかいう残酷な優しさからくるものかもしれない。  いやいや、流石に卑屈すぎるな。いくら渚さんが異常に優しくても、それとこれとは関係ないはず。  飛躍した妄想だ。所詮。  ……そんなことより!  本題を話さなくてはいけない。 
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