剥がせない絆

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 バスローブ姿の加納に出迎えられ、佐倉は身の引き締まる思いがした。入ったら最後。腹を括るしかない。  この後に及んで逃げようとする松木を連れ込み、ドアを閉めた。 「シャワーは浴びずに来たのね」  佐倉の体に抱きつくなり、加納が言う。 「すみません。借りてもいいですか」 「いいの。男の匂い、好きだから」  そう言って佐倉から離れると、加納はバスローブを取り去り、ベッドの真ん中に半身を起こして横たわった。ベッドの上にはローションとコンドームが用意されている。  佐倉はその場で服を脱ぎ、全裸になった。ベッドに乗ると、加納がにじり寄ってきた。股間に顔を埋め、ペニスをしゃぶられる。  加納の体は想像以上に枯れていた。背骨の浮き出たシミだらけの膚は湯葉のようだ。ハリのない尻は重力によって垂れ下がっている。 「あんた、何つったってんの」  佐倉のペニスから口を離し、加納は言った。腰をゆさゆさと左右に振りながら、「あんたにはアナルを舐めさせてあげる」とムゴイことを言う。 「加納さん、それは俺、がっ」  じゅるっとキツく吸われ、思わず声がうわずった。 「だめ、あんたのチンポ美味しい。ほら早く……ちょっと! 服のまま上がるんじゃないわよ!」  振り返ると、今にも卒倒しそうな青白い顔の松木と目が合った。佐倉が顎をしゃくると、松木は震える手で服を脱ぎ始めた。  松木も全裸になる。しなやかな筋肉に覆われた背中は吹き出物一つなく、美しかった。  早く早くと急かされ、松木は加納の背後に膝をつく。初老男の尻に顔を埋める松木が不憫でならなかった。 「舌、つっこんでえ」  おっさん正気かと、佐倉は我が耳を疑った。己のペニスから白髪まじりの頭を引き剥がす。 「もう我慢できねえ、なあ加納さん、入れていいか?」  佐倉は言うなりローションを片手に垂らした。従順にアナルを舐めている松木を押し退け、唾液で濡れたそこを指でほぐす。 「あんっ、んっ」  松木は「ペッ」と唾をシーツに飛ばした。加納の視界の外とはいえ、自覚がなさすぎる。気持ちは痛いほどわかるが、今はやめろ。佐倉はキッと松木を睨んだ。松木は今にも泣きそうな目で睨み返してきた。 「ああっ、ん……いいっ」  男の喘ぎ声を聞きながら、どうしてこんなことをしているんだろうと虚しくなった。泣けてくる。  だが、こうなったのは自分のせいだ。佐倉は初老の男のアナルをほぐしながら、煌のホステスを思い浮かべた。これは女、女のケツだと自分に暗示をかけ、片手で懸命に己のペニスを扱く。 「入れますよ」 「あんっ……はやくう」  大きく育てたペニスにゴムを被せ、ほぐしたそこに当てがう。ふうっと肩で息をし、気合を入れた。ずるずると埋め込めていく。全て入れ、腰が密着すると、なんともいえない達成感が胸に湧いた。自分はできる男だ、と自信を持った。ゆっくりと腰を揺する。たっぷりとローションでほぐしたそこはひと突きするごとにグチッ、パチュッと卑猥な音を放った。このまま射精まで突き進むだけだ。 「ああっ、はあんっ」  松木をチラリと見やる。可哀想に悪寒のように震えていた。ベッドの上にはいるものの、男同士のセックスを視界に入れまいと頑なにこちらを見ようとしない。  やはり二人で来て正解だったと佐倉は思った。松木だけでは、とてもこの試練を乗り切ることはできないだろう。
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