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扉をくぐった瞬間、俺は生まれた。
真っ白で、視界には何も映らない。
それでも、かすかに聞こえるその声が、両親のものによく似て聞こえたので俺は生まれ変わったんだと確信した。
生まれてまず最初に確認したこと。
それは、前の人生の記憶が残っているか。
自分が死んだ経緯、これまでの人生……。
ゆっくりと思い出していく。
そして、次に両親の顔……。
間近に、涙を流す母の顔がうっすらぼんやりと見える。
うん、同じだ。
俺はこの時、生まれ変わったと確信した。
(0歳からやり直しと言うのが少々気怠いが……まぁ、楽しませてもらおう。)
俺は叫び出したい衝動を必死にこらえた。
言葉はとりあえず……1歳になるまでは我慢しておこう。
出来るだけ自然に生きよう、そう決意した。
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