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それからは、長く気怠い20年だった。
もう一度人生をやり直せる。
それはとてつもなく羨ましい、夢のようなことだと思っていたが、実際は違った。
『強くてニューゲーム』を選択してしまったばっかりに、20年もの歳月はただいたずらに長く感じるだけだった。
他の子と学力・運動能力を合わせなければいけないという気苦労。
他の子の生育に合わせなければならない気苦労はなかなかのものだった。
生まれ変わって最初にしなければならないと思っていたこと。
それは前の人生のことを忘れてしまわないように、文字が書ける年頃になった時点で、書き留めることだった。
こいつと関わるとろくなことがない。
あの子と関わると変なことに巻き込まれる。
あのグループに加わるとろくなことをしない。
これまでの経験をフル稼働して、自分にメリットの無かったコミュニティーとの関りを極力避けた。
そのお陰か、今までにない未来の選択肢が生まれた。
今までと違う進路を選べば、俺を殺した『アイツ』とも会わないはず。
もともと地元で暮らしたい願望はあったので、俺は地元で自分が前の人生で選ばなかった職種を選ぶことにした。
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