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次に、朋希が目を開けた時には、救急車に収納できるストレッチャーに乗せられた時だった。
朋希が目を覚ました事に気がついた救急隊員が声をかけてくる。
「気がつきましたか?」
雨はすでに上がっている…。
どのくらい意識がなかった…?
虹はもう、出てしまったのだろうか。
それとも………
「あの…虹…」
「虹?」
「虹は、出ましたか…?」
「あ…いえ。見ていませんけど…」
幸助は…間に合わなかったのか…。
もし、そうなら、俺のせいかもしれない……。
救急隊の準備が整って、ストレッチャーが収納されようとしたその時。
「あ…」
さっきの救急隊隊員の声が聞こえて、顔を上げる。
虹だ。
でっかくて色がくっきりした、きれーな虹。
朋希の視界がにじむ…。
見逃したくなくて、雑に、何度も何度も目元を拭いながら、虹を見続ける。
「……なんか良いことありそうですね」
「そう、ですね。そうですね…」
救急隊員は、朋希の様子に何かを察したのか、しばらくそこに止まってくれる。
朋希は、その虹が消えるまで、見続けた…。
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