4 後悔

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 「その時思ったんだ」  何のために生きてきたんだ…?  何一つ、本当に何一つ、成し遂げられないまま…ただ、息をしているだけの、自分。  そして、静かに自分に絶望する。  「俺の名前、幸助(こうすけ)っていうんだよ。名前負けも、いいとこ」    そこで、立ち上がれば、良かったのかもしれない。  だが、コウが選んだのは……選んではいけない、最悪の選択だった。  「俺…飛んだんだ。マンションの屋上から…」  「……!!」  コウ……幸助の目に、涙が浮かぶ。  「神様が、先に地上に降りろって言った意味、わかった。朋希に会って、一緒に過ごして…すげぇ、すげぇ楽しかった…。俺、生きているうちに、朋希に会いたかった…」  いや、あの時、親やチームメイトの手を、跳ね除けずに取っていたら、何か違っていたのかもしれない。外に出て、朋希にもしも出会えていたら、違っていたのかもしれない……。  そもそも、あの選択をしていなかったら…?  自分があの時、自ら手放してしまったものの大きさに今更気づいても…もう、時は戻らない…。  朋希も、同じ事を思っていた。コウ…幸助が、辛い時に側にいてやれていたら、どうだっただろうかと…それを伝えたかったが、変に声が上ずってしまいそうで、言葉にうまく出来ない…。  朋希は、コウにおにぎりを一つ、差し出した。    「ん」  コウは、鼻をすすりつつ受け取る。  二人は、おにぎりを食べ始めた。  雨は次から次へと降り注ぐ。  二人の、思いを、言葉を飲み込むように……。  
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