5 雨上がりの空に…

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 「……き…と…とも…朋希!!」  自分を呼ぶ声に朋希が目を開けると、そこには泣きそうな顔をしたコウの姿。    あれ…俺、どうしたんだっけ…?  左足と、右の脇腹がひどく痛む…。  どうやら足を滑らせて、落ちてしまったらしい。  近くに沢でも流れているのか、水音がする。  雨はまだ止む気配がない…。  コウの肩を借りて、雨が当りにくい木の下に行き、寄りかかるように座る。  が、そこまでが限界で、これ以上動けそうになかった。  ジーンズの後ろポケットを探ってみるが、スマホがない…どうやら、落ちた時にどこかにいってしまったようだ。  「朋希!大丈夫か!!」  スマホはない。  コウは、人に見えない。助けを呼んでも来てくれない可能性が高い。  どうする?どうしたらいい…?  その時、ピクッと、コウが肩を揺らした。  その反応を見て、朋希はもうあまり時間がないのだとわかってしまう。    俺の心配より、自分の心配をしろよ…神様が指定した時間に間に合わせなくちゃいけないんだろ…?  「俺はもう、動けない。だから、置いていけ」  「何言ってんだよ!!朋希を置いて、行かれるわけないだろ!!」  「コウ……」  「俺、朋希助けられるなら、このまま消えても…」  朋希は、顔を覗き込むコウの胸元を、ぐっと掴んで引き寄せた。  「馬鹿か!お前は!!」  「朋希…?」  「それを俺が喜ぶと思ってんのかよ?」  「でも…」  「俺のこと思うなら、お前がやることはここで消えることじゃない!」  「朋希…」  「最後にきっちり、やり遂げろ!…俺が、見たいんだよ。幸助。お前が架ける虹を、俺が見たいんだ。見られなかったら…一生後悔する。だから、行け」  朋希は、掴んだコウの胸元を離すと、手のひらでぽんっと軽く叩く。    コウは、一度、ぐっと歯を噛み締めると、立ち上がる。  そして、朋希の目をしっかり見ると、走り出した。    朋希はコウの背中を見ながら、再び意識を手放した…。
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