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朋希は、右の肋骨に数本ヒビ、左足は検査の結果、骨折してはおらず、打撲と診断され、一応、様子を見るために病院に数日入院することになった。
朋希を助けてくれたのは、登山客の若い夫婦だった。
わざわざ見舞いに来てくれた二人が言うには、突然、声が聞こえたのだと言う。
「すごく必死な声で、この下の沢に怪我して動けなくなった人がいるから、助けてやってくれって…。気のせいかと思ったんですけど、俺ら二人とも聞いたから、行ってみようって。助けられて、良かったです」
声の主は誰だったのか、朋希にはわかる。
窓の外は、雲一つない青空だ。
これから朋希は、虹が架かる度に思い出すのだろう。あの風変わりな友人を…。
そして、願うのだ。
どうか。次は…次こそは…と……。
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