2 虹の…?

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 その晩のことだった。  朋希が洗面台で歯磨きを終えた時。  「なぁ、朋希」  「うわっ!!」  朋希は急に後ろから声を掛けられて飛び上がった。  振り返ると、そこにはコウが立っている。  え…?だって……  朋希は、目の前の鏡を見るが、コウの姿はない。  再び、振り返ると確かに、コウが立っているのに。  コウは苦笑した。    「普通は、俺の事見えないんだって。だから、声かけられた時はびっくりしたけど」  「じゃあ……」  「俺は人間じゃない…いや、もん…かな」  朋希はベットに。コウは客用の布団で。並んで横になっていた。  すでに電気は消していたが、お互いに寝ていないことは、わかっていた。  カーテンから差し込んでくる月の光は意外と明るい。  「………なぁ」  「…ん?」  「虹になりたいって言ってたよな」  「…うん」  「……何で?」  「…俺、生きている時、いい事なーんにもなかったわけ。だから、最後に一つくらい、何かしたいなって。神様が言うんだよ。虹見ると、いい事ありそうだって思うだろ?たくさんの人達に希望を与える事が出来るんだって。そしたら、に行けるらしい」  そういうと、コウは、ぱんっと両手を合わせる。  「『我願う。万人の希望とならんことを』って『(ことば)』を、神様が決めた日時に、『神様の(しるし)」に立って言うと、虹になれるらしい」  「……コウの、その…」  「ああ。死んじゃった理由?」  「……事故か、病気みたいなもんか」  「…まぁ、そんなとこ?」  「そっか…」  「最後に、きれーな虹になれたらいいよな。でっかくて色がくっきりしたやつ?」  「………もしも、虹になれなかったら、どうなんの?」  「…消滅。きれーさっぱり、消えてなくなるんだってさ」  「………」  朋希は、その日、なかなか眠ることが出来なかった……。    
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