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コウは、中高と才能を見込まれた、バスケットボールの選手だった。
身長は高くはなかったが、スリーポイントシュートとアシストの上手さに定評があり、将来はプロ入りも視野に入れるほどの選手だった。
だが…ある日突然、夢は奪われた。
高校の通学途中の、交通事故。ドラマではありがちな展開だが、本人にしてみれば、微塵も笑えない。
足を動かす神経に傷がついてしまい、リハビリすれば歩けるようにはなるものの、選手としては、再起不能となってしまう。
今までの生活が一変してしまった。バスケの推薦で入った高校も、行き辛くなり、自分の部屋に引きこもる。
その時、コウは自分のことで一杯一杯で、チームメイトや親の心配は感じていたが、それに応えて立ち上がるような心の余裕はどこにも無い。
それどころか、プレッシャーとなってコウを苦しめる。時にはそれが相手への八つ当たりとなって表に出てしまう。
一度、ボタンを掛け違えてしまうと、どうにもならず、皆んなの心配を撥ねつけ、一人孤立していく…。
気がついた時には、周りとの溝が、すでにどうにも出来ないところまで来てしまっていて、どうにも出来ない。
状況を変えることも出来ないまま、月日は流れていき…気がついたら、自分の二十歳の誕生日を迎えていた。
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