灰原君は届けたい

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 僕が、がっくりと気落ちしていると、 「ねえ、サンドイッチ食べる?」  と、袴田さんが声を掛けてくれた。 「うん」  太陽は既に傾き始め、夕暮れ時が近付いていた。昼食を食べていない僕のお腹は、気分に反して、とてもぺこぺこだった。  僕はタライの氷水で足を冷やしている袴田さんの隣に腰を下ろすと、自分も靴と靴下を脱いで、タライの中に足を入れた。  タライの中の氷は、その大半が解けてしまっていたけど、氷が解けた後の水でも、冷んやりとしていて、まだまだ冷たかった。 「はい」  袴田さんが、バスケットからサンドイッチを一つ取り出して、僕に手渡しで渡してくれた。 「ありがとう」  僕は礼を言ってから、サンドイッチを受け取ると、大きな口を開けてかぶり付いた。 「美味い!」  思わず大きな声が出た。もぐもぐと忙しく口を動かす僕を見て、袴田さんがにっこりと微笑んだ。 「このサンドイッチ、何が入っているの?」  とても美味しいけど、今までに食べたことがないような味だった。 「宇宙の調味料」  そう言うと、袴田さんは僕の目を真っ直ぐに見つめて、不適な笑みを浮かべた。
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