14人が本棚に入れています
本棚に追加
森川が俺の目を隠して。
ついでなんだろうか。後ろ手に縛られた。縛る道具はやっぱりタオルだからすぐ解けそうだけど。
「おい、これ。軽くSMだろ。」
タオルで隠された目元にはうっすら隙間があって顔の角度で森川の姿が見える。
100%隠れていない視界で、
「キスくらいでガタガタ言わないでください。」
「キスくらいで、手まで縛る奴がいるか?」
森川が俺の肩を掴んだ。
「だって、抵抗して殴られたら嫌ですし。」
「暴力には訴えないよ。」
森川が俺のおでこに自分のおでこをつけて、俺の右頬に唇を落としてきた。唇は思ったより柔らかい。
「女の子にされるのと変わらないですよね?」
すぐにそんなふうに話し出すから感覚が思い出せない。
「かわ……わかんない。」
「最近してないからですか?」
「ちょっと、もう一回してみ?」
「あ、はい。」
今度は左頬に唇を当ててきた。で一瞬ですぐに。
「どうですか?」
って聞いてくる。
息がかかってくすぐったい。思わず笑ってしまう。
「笑うのは失礼じゃないですか?」
「お前よ、下手くそか。」
どんな顔してるのか見たいけど、体しか見えない。ガウンが、ちょっとはだけて胸元が見える。貧相ではない。小さい体の割に鍛えてはいるようだ。
「男にキスするの初めてだからしょうがないじゃないですか。」
「じゃあ、お前が目隠しすればよかったんじゃない?」
目隠しを外そうと首を振ったり肩にタオルを擦り付けてみるけど外れない。
「外さないでください。まだ、本当のキスしてません。」
「本当のキス?ははは。お前な、頬にもまともにできな……」
森川が俺の口を口で塞いだ。舌を絡め取られて、そのまま抱きしめられた。キスしてるその音がやけに響いて。
黙ってれば音だけなら…確かに。
こんな夜中に、男2人で何やってんだか。
最初のコメントを投稿しよう!