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「…ふっ、…ん。」
息が苦しくなったのか、森川が漏らした声に思わず笑った。
「なんで笑ってるんですか。穂積先輩は失礼です。」
「ははは。だって、声聞いたらやっぱ男だったから。」
「声聞くまでは女の子とキスしてるみたいでしたか?」
なぜか両耳を両手で揉み揉みされてる。
耳も塞ごうとしてるのか?
「…んー、…わかんなかったなー。」
「前カノさんと別れてどれくらいなんですか?穂積先輩。もはやキスがわかんないんじゃないですか。」
ずっと、耳を揉み揉みされててなんかうるさい。
「森川、もう1回してみな。」
「じ…じゃあ。もう1回。」
両頬を手で挟まれた。唇が当たると柔らかくて、舌で唇を撫でてくるのがくすぐったくて、口を開けると舌を持っていかれる。
黙ってれば確かに。
こっちからも責めようと、森川の口内を撫で回した。苦しくなるくらいに舌を舐めてやろうって、根本に届くようにしてみれば。
「…ふっ。…は、はぁ。…ふっ。」
森川が声を出さないで息を漏らした。ちょっと女の子みたいに思えてくる。苦しそうだから顔を離した。
「お前、無理すんなよな。俺はお前の顔見えないけど、お前、男と男でこんな…。」
森川に抱きしめられた。顔を俺の肩に埋めている。
少し荒くなった息を整えているようだ。
「森川?」
「女の子としてるのと変わらないですか?それとも俺の方が女の子より良いですか?」
森川、そっか。お前、酒弱いのな。
きっと、明日には覚えてないよな、こんなこと。
「んー、そうだなあ……どうかな。お前の方がいいかどうか、あと1回試してみようか?」
「じゃあ、最後の1回です。」
もう1回、あと1回。唇を重ねたのは計3回。
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