episode2 そんなものを発見するんじゃない!

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ビュウッとトリュステン王子からブリザードのごとき凍気が流れてきた気がするのは錯覚か。 こんなにニコニコしている王子様なのに、何で不愉快さ120%だって伝わるんだ。 「嫁ぎませんし魔王妃になりません、興味のきの字もございません」 「ですが、魔王陛下直々に10年後にあなたを魔王妃に据え、アラテガワ領民を魔王国で保護すると書かれてありましたが?」 マ・ジ・で、そんなドストレートに書いたんか、あのアホ魔王。 確かにその告白は受けましたよ、受けましたとも。 けれど、私の結婚の意思確認はしてないでしょうが!! 「え、私らが引っ越すのかい?」 「まあ、それではこちらでお世話になるのは期限付きということ?」 「魔王国で少女時代を清里に送らせたいかと言われると、ちょっと嫌かもしれない」 生駒さんたちも大困惑。 女王陛下もセラード宰相もとてもとても困った顔をしておいでになる。 このままでは私が受けた恩に後ろ足で砂をかける不義理者になっちゃう! 「これは魔王国民の誤解と、それを誘発した魔王陛下の振る舞いのせいです。私に落ち度はありません」 「そんなことないだろ。誰だよ、決闘で勝った後、魔王陛下に抱き上げられて高らかに勝利宣言し手を振ってたのは」 「英にいの言い方には語弊があります。決闘でなけなしの魔力を使い果たして腰抜かす寸前だったところを救出されただけです。あと、魔王国は勝った者の意見が通る国なんで、人間大嫌い将軍に勝った私の意見を通しますよってアピールをしただけです。そこに、大勝利でテンションおかしくなっちゃった興奮状態ってのが加わりますけども」 闘技場に突然降り立って抱き上げてきたのは魔王陛下なので、私のせいじゃないもーん。 その陛下に掴まって観客の当主の皆様に手を振ったとしても、それで即魔王妃になるなんて誰が思う?
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