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魔王国出張なんてどこかに吹っ飛んじゃった。
甘かった、私と英にいがしてきたことなんか甘っちょろかった。
へっぽこ魔法を魔具でひそかに強化して、それを使ってはったりアピール、手八丁口八丁の会談の合間に御馳走食べて、目に余る将軍閣下と決闘したくらいだもん。
それで仕事をしてきた気になっておりましたが、思い返してみれば楽しい滞在すぎてあれが仕事かと思ってしまう。
一方、野瀬さんがしていることはヴァンダールフトの人々に直結する非常に大切なもの。
魔王国と人間国との橋渡しといえば聞こえはいいですが、私たちが作ったのはあくまでもきっかけであってあとは各国の努力となるのよ、そこまで私には面倒みきれない。
さすが野瀬師匠、もはや異世界での偉業を成し遂げているといっても過言ではないと思うの。
ただ。
「乾物はいいんですけど、それが勇者?」
いやだって、そこに行きつくのは必然じゃない?
生駒さんたちがこのアラテガワ領内に留め置かれて、トリュステン王子がわざわざ出向いてきたのは、野瀬さんが勇者って分かったからなんでしょ。
なのに、トリュステン王子の口から語られるのは、野瀬さんの倉庫整理の話ばかり。
この国の勇者は整理整頓できるのは条件なの?
備蓄勇者。
整理整頓勇者。
保存食勇者。
乾物勇者。
なんだろう、どれも強そうに聞こえないしありがたみもない。
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