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「そこはノセ夫人から説明していただけないだろうか。私が直接体験したわけではないのだから」
トリュステン王子から少し困ったように頼み込まれた野瀬さん、こほんと一つ咳ばらいをいたしました。
「私なんぞの語りでよろしければ」
「頼みますよ、野瀬さん。私らも詳しい事情は伏せられたままただ野瀬さんが勇者だと聞かされてこの状態なわけですし」
「僕もフォトキエとの交渉を延期して待機しているんです。亜麻音ちゃんたちが戻ってきたなら是非聞かせてもらいたいなあ」
どうやら野瀬さんが勇者ということだけは知らされていたけれど、それ以上の詳細は伏せられて教えてもらっていなかったらしい生駒さんと戸田さん。
私と英にいを待っていたというより、王家で対応策を練っていたからの箝口令と外出禁止なのでは?
「私事で皆さんにご迷惑をおかけして大変申し訳ございません」
謝罪する野瀬さんに、私たち大慌て。
「いやいやいや、そんなつもりでお願いしたわけではないのですから」
「そうですよ!野瀬さんだって僕たち同様ここから出られなくなっていたわけですし!」
野瀬さんに説明を求めた生駒さんと戸田さん、必死のフォロー。
それは当然私と英にいもであります。
「そもそも勇者は特定しないって約束でしたもん。野瀬さん、悪くないわ」
「おそらく不慮の事態だったんでしょう。それより、今後の対策のためにも話を聞かせてもらえませんか」
そうなのよ、今後の対策大事!
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