1524人が本棚に入れています
本棚に追加
私たちの中にやっぱり勇者がいたんだってことになれば、またもクロードくんを次期王位継承者に担ぎ上げようとする勢力が息を吹き返しかねない。
今はクロードくん自体が罪を認め、他の同盟国や魔王国の手前大人しくせざるを得なくなっているけれど、クロードくんの召喚の儀式のおかげで勇者が国に舞い降りたとなれば、一躍クロードくんは英雄扱いにされかねないんですよ。
そこは絶対に阻止しないと。
儀式のおかげもくそもないのよ、禁呪使って、しかも女王陛下不在時を狙っての確信犯なのよ、あいつの所業は。
しかも、国のためじゃなくこんなことできる俺様偉いっていう勘違い思想でやらかしてるんだから、いくらその後改心していようが徐々におりこうさんになっていようが、禁呪の召喚発動の責任問題を功績にすり替えることはやっちゃいけない。
そのためにも、詳しい話をぜひ聞いておかないと!
「もしお聞き苦しい点がございましたらご容赦ください」
そう断りを入れてから、野瀬さんは語り出したのでした。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆野瀬視点
あれはいつ頃からでしたでしょう。
頭の中に声が響くことが出てまいりましたの。
こちらの慣れない生活の疲れが幻聴として心身の不調を訴えているものだとばかり思って、我が身の不甲斐なさに落胆しておりました。
最初のコメントを投稿しよう!