プロローグ

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徹夜でBL二次の原稿を描き上げてちょっとハイになったまま、春に受かったばかりの大学に行こうとしていた私。 地元きっての秀才くんでありながら、都会の最高学府に進学してメンタルやられて休学し、実家に引きこもって昼夜逆転、ふらふらとコンビニから戻ってきた幼馴染みの利根英也くんこと英にい。 私と英にいが小学生の頃教頭先生で、その後校長先生にもなって現在は定年退職、毎朝ランニングを欠かさないちょっと小太りだけで優しい生駒育造さん。 独り暮らしをされていらっしゃるけれど、家族構成以下個人情報皆無、でもお茶も生け花もなんでもござれ、自宅で絵画教室も開いて一時期私も習っておりました、常にお着物姿でびしっとしておられる師匠こと野瀬富子さん。 優秀な営業マンであり家庭では愛妻家のイクメン、愛娘が夜泣きして奥様が一晩中大変だったからと自分の休みを子守に全振りして奥様を休ませて散歩に出てきた戸田俊樹さん。 その愛娘で今は1歳になり、ハイハイだったのがもうよちよちと歩けるようになった、天使のごとき戸田清里ちゃん。 朝日の中、たまたま出会った私たちが挨拶を交わしていたら、足元に魔方陣なるものが浮き上がって、あれよあれよという間に異世界に拉致されました。 召喚って言うよりも拉致でいい、異世界拉致で。 6人丸ごといなくなったんだから、元の世界ではどれだけ大事件になっていることでしょう、想像すると胸が痛む。 気が付くと私たちはヴァンダールフト神聖王国というところのお城の地下におりました。
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