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「ならば、薙刀におなりなさい。私が唯一習得した武術ですわ」
武具であればよろしいのでしょう。
本当に私としては最大限の譲歩を提案でした。
『ナギナタだと???』
説明が少々難しゅうございましたけれど、この世界にはないのですから仕方ありませんわねえ。
薙刀は昔、武道として教育にも取り入れられていた時期があったのですよ。
今は「なぎなた」と名称を平仮名にして、競技として残っていると聞いています。
遥か昔は男女共に薙刀を使っていたようですけれど、柄が長く振り回せば遠心力もつきますでしょう。
きちんと習いさえすれば、女性でも上手く扱えますの。
薙刀でしたら刀身部分がございますし、勇者の剣も変化しやすかろうと考えましたのよ。
もちろん、普段は使うつもりはございません。
今も私の部屋に置いてあります。
ただ・・・そうですわね、老いて日々衰えるこの身の鍛錬に久しぶりに薙刀を使ってみるのもよいかと思ってしまいましたの。
若い頃、叔母に習っておりましたのを思い出し、つい懐かしくなってしまったことは否めません。
ただ、これだけは信じていただきたいのです。
薙刀は武具ではございますけれど、断じて戦のためではございません。
もし使うとするのであれば心身の鍛錬と、万が一のときの護身のため。
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