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私の薙刀の腕前などたかが知れておりますもの。
もう何十年使ってこなかったことか。
以前のような動きはできませんわ。
ですので、高齢である私の肉体の衰えを少しでも防ぎ、寝たきりになるのを防ぐための運動程度ならばと。
『どのようなものか、想像し我に伝えよ』
勇者の剣がそのように語り掛けてまいりましたので、私、以前叔母の家にあったものを一生懸命想像いたしましたのよ。
ええ、それはもうとても立派な薙刀で、確か巴型というのではなかったかしら。
刀身の幅が広く、反りも大きいと教えられたように思いますが、何せ昔の記憶ですから間違っていたら申し訳ありません。
それを流れるような所作で扱う叔母の姿は、それはもう美しくも凛凛しいものでしたから、私憧れておりましたの。
その叔母の家が当時所有していた薙刀と同じものであればと思い浮かべておりましたら、剣が何やら光に包まれまして、徐々に形が変わっていきましたの。
私が頭の中で描いていた形通りに!
やればできるものですのねえ。
というわけで、現在、勇者の剣と呼ばれるものはどこにもございません。
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