プロローグ

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そして、私たちを無理矢理こちらの世界に召喚した第1王子クロードくんがいきなり私のことを「聖女」と呼び、英にいのことを「勇者」と呼んだのです。 そうです、私が変なおじさんです、じゃない、変な聖女です、いやそれも違う。 私は普通の女子大生じゃい。 英にいもひきこもりで頭でっかちなひょろひょろ秀才くんなので、勇者のイメージから遥か500万光年先くらいまで遠い。 この王子、脳味噌沸騰してるんかと思っておりましたら、なんとこやつ、聖女と勇者以外はいらないから捨ててこいって部下に命令したんですよ! 高齢者と乳児とその父を捨ててこいだあ!? てめえの頭は腐ってんのか!? そう思いますよね、私はそう思いました。 自分たちで許可なく勝手に召喚しておいて捨ててこいとは、何たる言い草! 徹夜していたのもあって、脊髄反射で抵抗いたしましたわよ。 原稿を描く手は大事にしなきゃという気持ちだけは頭の片隅にあったので、使えるのは脚。 怒りと共に全力で振り上げた脚が、見事に股間にヒット。 白目を剥いてクロードくんが倒れたところで、禁呪発動に気づいたトリュステン第2王子たちが駆けつけて、私たちは全員無事保護されたのでございます。 王子様を蹴ったことは、あとで生駒さんと野瀬さんからみっちり叱られました。 暴力に訴えるのはよろしくないと。 そんなことは百も承知ですけれど、あの場でそれをしなかったら生駒さんたち捨てられてたかもしれないんだもの。 後悔はしていない、でもその後私は常に脚使いを警戒されることとなりました。 なんか理不尽!
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