プロローグ

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そんなヴァンダールフトの生活にも慣れた頃、魔王陛下から魔王国のご招待を受けまして、私と英にいが行ってまいりました。 力至上主義が徹底していて、魔王陛下の存在は絶対的唯一無二、人間は弱くて最底辺という考え方の国で、こっそり魔具の力を借りてへっぽこ魔法を駆使し、ただ弱いだけじゃないのよってのをアピール。 人間が気に食わない襲撃者の体毛や鼻毛や衣類を焼き、お貴族当主様たちと会談しご令嬢様方とお茶会をしと忙しく動いておりましたのよ。 これだけでもすごく働いているのがわかるでしょ? なのにさあ、上半身牛の将軍が喧嘩をふっかけてきて、その過程で私が昔自宅で飼っていたこげを呼び出せることが発覚、牛将軍との決闘でこげを大量に呼び出して見事勝利を収めた次第です。 その結果、魔王国内で勝手に魔王妃陛下なんぞと呼ばれるようになったのはあまり嬉しくない。 策略家のジリオンさんは、魔王妃陛下という誤解につけこみ、魔王妃陛下である私は魔王陛下の御為に人間の国で互いの国の和平と交流に向けて尽力するのだという美談を利用するそうです。 英にいと気が合う似た者同士の同類項だけのことはある。 自国民を騙すことに躊躇がなさすぎるのよ、あの参謀様は。 これだけの成果を携えて、私と英にいはヴァンダールフトに戻ってまいりました。 帰還したのがほんの1時間ほど前。 疲れてはいるけれど、報告したいことがいっぱいある。 私たちがいない間の話も聞きたい。 だというのにですよ。
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