1355人が本棚に入れています
本棚に追加
「アマネ、ヒデヤ。あなたたちが魔王国で十分な成果を挙げてきてくれたことはわかりました。では次に、魔王陛下からの親書の話をしましょうか」
トリュステン王子がそう言うと、女王陛下の傍らに控えていたセラード宰相が銀のお盆に乗った封筒を陛下の前に置きました。
既に開封済みなのは見てわかります。
たぶん開封して中身を見て、これどうしよう!?って女王陛下とトリュステン王子が頭を抱えての3日間だったんでしょうよ。
親書を渡してからすぐに呼ばれなかったのは、きっとヴァンダールフトに困ることが書いてあったに違いない。
見てなくても何となくわかる。
だって書いたのがあの魔王陛下ですよ?
天上天下唯我独尊、力至上主義の魔王国で絶対的権力者にして至高かつ孤高の存在のあの魔王様、誰かを気遣って言葉を使うなんていう芸当ができるわけがない。
悪い人じゃないのよ、むしろいい人なのよ。
いい人だけど、魔王国の常識を体現してるから物騒な人でもあるのよ。
魔力を乗せた魔圧とかいうのを発して貴族たちをがちがちに怯えさせてたのを見ちゃっているので、人間国と仲良くしていきたいと宣言したとしても明文化した内容が人間の常識から外れている可能性大。
こちらとしては魔王陛下からリエンヌ女王陛下に宛てた親書を勝手に開封するわけにもいかなかったので、想像しかできない。
最初のコメントを投稿しよう!