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「あのー・・・魔王陛下は今後人間国との交流を推進していくと宣言されたんですが、そのことが書いてあるんじゃないんですか?」
「もちろん書いてありますよ」
よかった、まともな内容だった。
私も英にいもほっとしたのも束の間。
「交流及び交易の取り決めに際しては、話し合いの場に常にアラテガワの住民を最低1名同席させることを求めていますけれどね」
まともじゃなかった!何、それ!
国同士の話し合いだったら、それなりに外交に長けた位の高い方が臨むのが普通でしょうに。
私たちアラテガワ領民は、単なる平民なのよ。
ただちょーっと魔王陛下に面白がられて、人間としてはおそらく初となる魔王国入場者第一号になったってだけ。
これからのことは国対国でやってよう。
「魔王国の言い分としては、アラテガワ領民は中立的立場であるはずなので、話し合いの公平性と平等性を確保するためにも同席を求めるということのようです」
いやいやいや、私らがっつりヴァンダールフトに保護されている人間ですやん。
確かにヴァンダールフトの庇護に問題が生じた場合は魔王国で保護してもらおうと思ってましたけどね。
中立かと言われると・・・うーん。
「それはたぶん魔王陛下の屁理屈だと思いますよ」
英にい、言いにくいことをずばりと言いやがりました。
「魔王陛下は亜麻音に会う口実がほしいんですよ。それと、人間国側に来る口実が。交流を推進するための話し合いのテーブルに亜麻音がいたら、陛下自身がいそいそと来るんじゃないですかね」
想像できて切ないから止めて、英にい。
あの魔王陛下は周囲の目を気にしなさすぎるから、下手すると私を自分の隣に座らせかねないのよ。
そんなことをしてごらんなさい、異世界人は魔王国と通じている裏切り者扱いされかねない。
何を言い出してんだ、あの我儘魔王。
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