episode2 そんなものを発見するんじゃない!

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だったら私も言っちゃうぞ。 「交渉のテーブルに魔王国の参謀公爵閣下がついた場合、相手は英にいしかできません」 「おい、おまえ何を・・・っ!」 「智謀に長けた参謀公爵閣下と同格の会話を魔王国でこれでもかってほど堪能してきた英にいじゃないと、きっと心が折られると思います。ヴァンダールフトで外交をこれまで担ってきた貴重な人材の人生をぶち壊しかねません。なので、基本あの参謀公爵閣下にどれほど打たれても打ち返して高笑いができる英にいを臨時の外交官にしたらいいと思います」 私が同席するより有意義な話も出来ると思うのよ。 一歩間違うと嫌味合戦に終始するかもしれないけれど、ジリオンさんも英にいも優秀有能なので自分たちが参加した話し合いで何も決まりませんでしたなんてことは絶対にないでしょう。 そんなの、両者のプライドが許さないはず。 「あちらの使者次第というわけですか」 「そうです、トリュステン王子。ちなみに、交易ってことになったら戸田さんを同席させればいいと思いますし、難航しそうなときは生駒さんや野瀬さんが同席したらきっと話の方向性をまとめてくれますよ」 戸田さんが間に入れば、商魂逞しいフォトキエ商業公国がもれなくついてくるでしょう。 同盟を結んでいる5国の中で、一番柔軟な対応が出来そうなのがフォトキエです。 商業を国全体で推進しているので、魔王国は敵対国というより新しく開拓できる商売相手扱いしてくれるはず。 なんてったってフォトキエのヴィオレッタ大公妃はユーザニア国王の妹でリースメイア様の叔母様に当たる方。 父親の先代皇帝や兄である現皇帝が頭を抱えるほど、ヴィオレッタ大公妃は己がやると決めたことには全力で邁進する方で、リース様はそんな叔母様を非常に尊敬し見習っている節があるんですな。 だから、トリュステン王子と婚礼を挙げた暁には帝国をヴァンダールフトに跪かせるとかおっそろしいことを言っちゃうんですよ。 ユーザニア帝国、継承は男性と決まっているみたいなのに、代々女傑の血筋じゃん。
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