2話:一か八かの賭け

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これで今日の宿代は何とかなるだろうと、後ろを振り向こうとすると、 受付嬢のリリエルに呼び止められる。 リリエルさんは勇者パーティーの時から、お世話になっている銀髪が特徴的な女性だ。 最初、追放された事を伝えたら、 凄く驚いていたが、今ではこうして、 丁寧に扱ってくれている。 「これ、プレゼント」 何かと思えば、リリエルが 小銭入れ用の財布を取り出し、 佑樹に渡す。 「……良いんですか?」 確かに、 財布がない事には困っていたが、 わざわざ良いのだろうか。 「今じゃ佑樹くんも、ソロ冒険者でしょ?ポケットにお金入れてて、落っことしちゃっても、誰も気付いて教えてくれないよ?」 言われてみれば、それはそうだ。 大金でも手に入れて、 モンスターとの戦闘中に落として、 後悔するなんて事は絶対に嫌だ。 「有難いですけど……でも、どうして?」 「んー、どうしてだろうね。同情っていう理由もあるし、それとはまた違った理由もあるかな?」 「違った、理由……?」 リリエルの言葉で分からない部分が あったので、聞き返してみる。
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