2話:一か八かの賭け

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そこで、発動させようとしたその時、 他の方向から、強烈な炎が、一直線に、 ワイバーンの元へと放たれる。 ワイバーンには直撃。 白い光に辺りは照らされて、 黒煙を上げる。 「…………」 一瞬、何が起こったのか 理解出来なかった佑樹は、言葉を失った。 ワイバーンは地面に勢い良く落下する。 「「「キャイ゛イ゛ィィィイイン!」」」 他の方向から、複数のワイバーンの、 雄叫びが聞こえる。 先程の誰かの攻撃で、 怒らせてしまったのだ。 三体のワイバーンが何処からか、 空を飛んで、魔法を放った人物の方角へ、 飛んでいく。 「………逃げ、られる……」 狙いは、佑樹から、別の人物に逸れた。 今の内に逃げれば、間違いなく助かる。 でも、このままで良いのだろうか。 仮に、自分が助かったとして、 笑えるのだろうか。 私欲のために、誰かを傷付ける。 自分が助かるために、誰かが犠牲になる。 似ている、いや。似ているんじゃない。 同じ事なのだ。 「そんなの……アイツらと一緒じゃないか」 気が付けば、佑樹の体は動き、 ワイバーンが向かう方向へ走っていた。
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