3話:弱った少女と元仲間

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3話:弱った少女と元仲間

「フレイム・アビス──!」 ワイバーンが少女の前に突進してきた 瞬間を狙い、腹の底から声を上げた。 辺りは白い光に照らされて、灼熱の炎が、 上空に向かって、放たれる。 衝撃波に佑樹と少女は吹き飛ばされ、 黒煙が舞う。 煙が消えた事を確認して、 佑樹は立ち上がる。 まず、一番目に、ハーフアップの少女の 元へと向かう。 少女は煙でむせていたが、 怪我は無く、無事のようだ。 「大丈夫?」 肘を地面に付けて、 起き上がっている少女に手を差し伸べる。 「アンタは……?」 少女は佑樹の手を掴み、 ゆっくりと立ち上がる。 「自己紹介は後で。今はワイバーンだ」 先程の場所を見れば、一匹のワイバーンが 飛び上がっている。 「ギャイイ゛ィ゛イ゛イ゛イイイ゛ン!」 迫力のある咆哮を上げて、 佑樹を睨み付けている。 「……ギリギリ、一匹残ったって所か……」 上空の奥の方を見れば、 ワイバーンの群れが此方に向かってきている。 「何で……こんなに、ワイバーンが居るの……?」 ハーフアップの少女が喉を震わせている。
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