7人が本棚に入れています
本棚に追加
「……ワイバーンは光や音に敏感で、どんなに小さい衝撃でも、怒らせてしまう……」
「って事は……もう、終わりって事……?」
少女の目が潤んでいる。
体も小刻みに震わせていて、
恐怖に襲われているのが伝わる。
残っている魔力は三百。
フレイム・アビスをもう一回
撃っても良いが、成功するか、どうか。
少なくとも、目の前にいるワイバーンは
火傷状態だ。
そんな時、近くの草むらで、
何かが動く音がする。
「なっ、何……?」
少女の言葉の後に、
草むらからは水色で弾力の
ありそうな魔物。
スライムが飛び出していた。
「───そうか……」
そこで佑樹はあることを理解、思い出す。
スライムにテイムを掛けて、
遠くの方に飛ばし、上空に持ち上げる。
そこで、フレイム・アビスを撃てば、
注目はそこに集まるはず。
その隙を狙えば、二人とも
逃げる事が出来る。
「俺に……考えがあるんだ」
この作戦を少女に伝える。
「……分かったわ。けど、本当に上手く行くの?」
「やらない後悔より、やって後悔だ」
佑樹がそう呟くと、
スライムに右の手の平を突き出し、
詠唱する。
最初のコメントを投稿しよう!