3話:弱った少女と元仲間

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「テイム───!」 紫色の魔方陣が展開されて、 光を放つ。 此処で失敗すれば、二人とも死ぬ。 腹の底から、咆哮を上げて、 スライムを吹き飛ばすように、 野球でボールを投げるときのように、 手を奥の方へ突き上げる。 スライムはそれと、同時に遠くの方へ 飛んでいく。 テイムは解除しないままで、 スライムを上空で留める。 「「「ギャイイィイイィィィイイン゛!」」」 ワイバーンの咆哮が上がる。 「今───!」 少女の声が聞こえ、 佑樹は左手の平をスライムに向けて、 詠唱する。 「フレイム・アビス─────!!」 次の瞬間、ほんの数秒を置いて、 スライムが灼熱の炎に包まれる。 白い光を放ち、衝撃波が。 ワイバーンの注目はスライムの方に 向き、ワイバーンの群れ全体はそちらに 飛んでいく。 「よし……今の内に……!」 少女の手を引いて、 佑樹は森林に背中を向けた。 走り続けて、約五分。 空を見上げれば、夜空が広がっていた。 森林を抜けて、門をくぐる。 何とか、街に帰って来れたのだ。 「……死ぬかと、思った……」 息切れを起こした少女が、 溜息をするように呟く。
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