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「テイム───!」
紫色の魔方陣が展開されて、
光を放つ。
此処で失敗すれば、二人とも死ぬ。
腹の底から、咆哮を上げて、
スライムを吹き飛ばすように、
野球でボールを投げるときのように、
手を奥の方へ突き上げる。
スライムはそれと、同時に遠くの方へ
飛んでいく。
テイムは解除しないままで、
スライムを上空で留める。
「「「ギャイイィイイィィィイイン゛!」」」
ワイバーンの咆哮が上がる。
「今───!」
少女の声が聞こえ、
佑樹は左手の平をスライムに向けて、
詠唱する。
「フレイム・アビス─────!!」
次の瞬間、ほんの数秒を置いて、
スライムが灼熱の炎に包まれる。
白い光を放ち、衝撃波が。
ワイバーンの注目はスライムの方に
向き、ワイバーンの群れ全体はそちらに
飛んでいく。
「よし……今の内に……!」
少女の手を引いて、
佑樹は森林に背中を向けた。
走り続けて、約五分。
空を見上げれば、夜空が広がっていた。
森林を抜けて、門をくぐる。
何とか、街に帰って来れたのだ。
「……死ぬかと、思った……」
息切れを起こした少女が、
溜息をするように呟く。
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